「お話の記憶が苦手…」
「お話の記憶をぜんぜん覚えられない」
小学校受験のペーパーテストにおいて、必ずと言っていいほど出されるのが「お話の記憶」です。
お話の記憶では、学校側が用意した物語を聞いた後、それに関する質問に回答するという課題です。
お話の記憶の正答率を上げるためには、最初に読まれる物語を記憶する力が一番大切です。
それができれば、あとは質問を聞いて、正しい選択肢を選ぶだけです。
ただ、この「お話の記憶」を苦手としている子は多いです。
また、お話の記憶が苦手な子どもには共通して見られる特徴もあります。
そこで今回は、お話の記憶が苦手な子どもの原因や改善方法などについて、小学校受験講師が丁寧に解説していきます。
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お話が苦手な子に共通する原因や特徴
お話が苦手な子どもには、以下のような原因や特徴が共通して見られやすいです。
1.記憶力が弱い(特に短期記憶)
2.「聞く力」が弱い
3.想像力が足りない
4.語彙力が足りない
5.視覚から情報を入っている
お話の記憶が苦手な場合、この5つの特徴や原因が見られることが多いです。
では、1〜5について、それぞれ詳しく説明していきますね!
1.記憶力が弱い(特に短期記憶)
お話の記憶が苦手な子どもは、記憶力が弱い傾向にあります。
ただ、記憶と言っても、以下のように種類があり、一括りにすることはできません。
また、お話の記憶では、物語を聞いて、一時的にその記憶を保持する必要があります。
つまり、短期記憶がカギになるということです。
短期記憶とは、その名の通り、比較的短い時間保持される記憶で、必要がなくなれば消去されます。
言い換えれば、課題遂行のために必要な記憶と言えます。
そのため、「作業記憶」「ワーキングメモリ」とも呼ばれています。
お話の記憶では、このワーキングメモリの強さが影響してきます。
ワーキングメモリが弱ければ、お話を聞いても忘れてしまい、正答率が低くなります。
一方で、ワーキングメモリが強ければ、お話の記憶の正答率も高くなります。
また、ワーキングメモリは、脳の「前頭前野」という部分が担っています。
ただ、そもそも乳幼児の前頭前野はまだまだ未発達なので、ワーキングメモリが弱いのは仕方ありません。
そのため、お話の記憶が覚えられない場合は、日々の受験対策の中に遊びを交えたトレーニングを取り入れて、前頭前野の発達を促す必要があります。
2.「聞く力」が弱い
「お話の話を最後まで集中して聞けない」
「そもそも聞いているかすらわからない」
というような場合は、「聞く力」が弱い可能性も高いです。
聞く力が弱いということは、脳の聴覚や記憶を司る領域の発達が遅れている可能性が高いとも言えます。
また、このような脳の発達が遅れているのは、日々の親子の関わり方やデジタル機器の使わせすぎ、受験対策の仕方に原因があることが多いです。
加えて、発達障害の可能性がある場合も、それが原因で聞き取りが苦手なケースも意外とあります。
そのため、聞き取り以外に、
「お話を最後まで集中して聞くことができない」
「聞いた内容をすぐに忘れてしまう」
という場合は、根本的に見直していく必要があります。
「聞く力」が弱い原因や改善方法などについては以下の記事で詳しく解説しているため、こちらもあわせてチェックしてみてくださいね。
3.想像力が足りない
お話の記憶が苦手な場合、想像力が足りていないことも多いです。
お話の記憶が得意な子どもは、お話を聞きながら、それを頭の中で想像できる子が多いです。
つまり、耳から入ってきた言葉を頭の中で映像化しているようなイメージに近いです。
その一方で、想像力足りていない子は、お話をただ「文字」や「言葉」として受け取ってしまっているため、あまり記憶に残らず、質問にも回答できません。
そのため、もしお話の記憶の正答率を高めたいなら、想像力を養うことも大切です。
4.語彙力が足りない
お話の記憶が苦手な場合、語彙力が足りていない可能性もあります。
お話の記憶であまり馴染みのない言葉や知らない表現が出てきたら、聞き取り以前にその言葉の意味を理解できません。
また、お話の途中で意味をわからない言葉が出てきたら、その先の内容も聞き取れなくなってしまいます。
そうすると、質問にも回答できません。
そのため、聞き取りが苦手な場合は、意識してお子さんの語彙力を増やしていくことも大切です。
いろいろな問題を解いていくうちに、お子さんが理解しづらい表現が出てくると思うので、それをストックして、スキマ時間に復習するのもおすすめです。
5.視覚から情報を入っている
もしお話の記憶を聞いている途中に、
「キョロキョロしてしまう」
「最後まで集中してお話を聞けない」
ということであれば、視覚優位になっている可能性もあります。
特に、男の子の場合、文字や言葉による聞き取りより、絵や図解で説明される方が理解しやすいです。
なぜなら、この時期の男の子は、聴覚より視覚の方が発達しているケースが多いからです。
また、視覚が働いているときは、脳の聴覚を司る領域がほとんど働いていないこともわかっています。
そのため、もし視覚の方が優位になっているのであれば、お話の記憶を練習をするとき目を瞑るなどして、聴覚への刺激を増やすことも大切です。
「お話の記憶」対策で使える5つの実践テクニック
「お話の記憶」が苦手な場合、以下のポイントを意識するようにしましょう・
その実践テクニックやポイントは次の5つです。
1.目を瞑りながら聞く練習をする
2.頭のなかでイメージできるように促す
3.聞き取る箇所やポイントを事前に伝える
4.問題のレベルを調整する
5..遊びの中で脳の発達を促す
では、それぞれのポイントについて、もう少し詳しく見ていきましょう
1.目を瞑りながら聞く練習をする
1つ目は、目を瞑りながらお話を聞く練習をすることです。
先ほどもお伝えしたように、お話の記憶が苦手な場合、問題文や指示を聞いているときに視覚から情報を得てしまっているケースも多いです。
特に、話を聞いている途中にキョロキョロしてしまったり、体が動いてしまう場合、聴覚から情報がほとんど入っていない可能性が高いです。
そのため、お話や物語を聞くときは、あえて目をつむるように指示しましょう。
そうすることで、視覚からではなく耳から情報を入れようとするので、聴覚を司る脳の領域に刺激を与えられるため、聞く力を伸ばすこともできます。
もし目を瞑ることが難しいようであれば、アイマスクなどを活用するのもおすすめです。
2.頭のなかでイメージできるように促す
先ほども解説したようにお話の記憶が苦手な場合、想像力が足りていない可能性も高いです。
「お話の記憶」の最大のポイントは、「お話や物語を聞きながら頭のなかイメージ(映像化)できるか」です。
例えば、「ライオン」が物語に出てきた時、そもそもお子さんがライオンがどんな形・容姿をしているのか、知っていないと当然、頭のなかでイメージすることはできません。
また、ライオンがどんな動物か知っていても、日頃から頭のなかでイメージするトレーニングをしてないと、すぐに頭のなかで映像(イメージ)化することはできません。
そのため、課題文を読みあげるときに、お話だけ聞かせて、そのシーンをお子さんが頭のなかでイメージ(映像化)できるように質問を促してあげることが大切です。
例えば、お話を読んであげている途中で、それをイメージできるか確認するために、
「今、このお話に出てきた登場人物(キャラクター)を教えて?」
とか
「◯◯はどうして悲しい気持ちになっちゃったの?」
などの質問を物語に沿って聞いてあげてみてください。
そうすることで、お話を聞いて頭のなかでイメージするトレーニングになります。
また、1でご紹介したように、お話を聞くときに目を瞑らせると、集中して頭の中で想像できるようになるのでおすすめです。
3.聞き取る箇所やポイントを事前に伝える
「お話の記憶」が苦手なお子さんは、
・物語を聞いている途中ぼーっとしている(集中できていない)
・物語が長すぎて徐々に忘れていっている
・何を集中して聞き取ればいいかわからない
のいずれかであるケースが多いです。
たしかに、幼児期のお子さんに、長いお話をじっと聞きなさいというは酷な話で、一朝一夕でできることではありません。
そうならないためにも、お子さんにお話を読む前に、聞き取る箇所やポイントについて、強調してあげることが大切です。
というのも、小学校受験の「お話の記憶」では、よく聞かれる質問があるからです。
例えば次のようなことです。
■登場人物に関して
・誰がいたか
・誰がいなかったか
・誰が途中から加わったか
・誰がいなくなったか
■行動/出来事に関して
・物語中の出来事
・何が起きたか
・何が起きなかったか
・なにをしたか
・なにをしなかったか、
■順番(順調)
・どんな順番で誰が来たか
(かけっこ・競争など)
・できごとの順序
・時間の経過
■数量
・いくつあったか
・いくつ増えたか
・いくつ減ったか
・いくつあげたか(もらったか)
・全部でいくつか(何人か)
※その他
・地図に話の経路を描き入れる
・間違い探し
・時計
・話の通り絵を描く
・話の続き創作
もちろん、上記以外の質問も聞かれる可能性はありますが、これらに関連する質問が出題されること傾向があります。
そのため、最初のうちは、文章を読む前に、
「どの順番で、動物さんたちがゴールしてるかよく聞いててね(順番)」
というふうに、特に聞いてほしい部分を事前に伝えておくことも大切です。
それを続けると、どんな点に注意して聞けばよいか、だんだんとわかるようになってきて、質問にも慣れてきます。
4.問題のレベルを調整する
お話の記憶が苦手な場合、問題のレベルが合っていない可能性もあります。
特に、いきなり長い文章に取り組んでいる場合は注意が必要です。
物語の長さは学校によって異なりますが、お子さんが苦手意識を持っている場合は、
・短い文章(絵本)で練習
・長い文章(絵本)の場合、何回かに区切って質問を出す
という工夫が必要です。
苦手意識をもった状態で、試験を意識しすぎて長い文章に取り組みすぎても、自信を失ってしまうだけです。
そのため、まずは短い文章で練習することが大切です。
また、どうしても入試に近い長い文章で練習した場合は、お母さんがその物語を区切りの良いところで小分けにしてあげましょう。
そして、読んであげたブロックの内容に関連する質問をしてあげましょう。
(このときの質問は、お母さん、またはお父さんがオリジナルで作ってあげてもOKです。)
そうして、段階的に、一度に読む文章量を増やしていき、克服していくことが大切です。
そして、最終的には、お子さんの志望校よりも長い文章を出題する学校の問題が解けるように仕上げる意識を持ちましょう。
(ここが意外なポイントなので、大変ですが、心にとどめておいてください。)
5.遊びの中で脳の発達を促す
先ほどもお伝えしたように、お話の記憶でカギを握るのは「短期記憶(ワーキングメモリ )」だと解説しました。
その短期記憶を司るのは脳の「前頭前野」という領野です。
そのため、もし短期記憶を強くしたいなら、前頭前野をはじめとした脳の発達を促す必要があります。
ちなみに、私たちの脳は「楽しい」と感じることで、活発に働きます。
また、脳の働きが活発になると、脳の全体的な発達につながり、結果的に「聞ける脳」を育てることができます。
そして、幼少期の子どもが心から「楽しい!」と感じられるのは、「勉強」ではなく「遊び」です。
そのため、もしお話の記憶を克服したいなら、遊びを交えたトレーニングを積極的に取り入れることも大切です。
例えば、そのひとつに「旗揚げゲーム」があります。
このような”遊びトレーニング”は、子どもが楽しみながら前頭前野をはじめとした脳の各領域に刺激を与えることができるため、聞く力も伸びやすいです。
聞く力を伸ばすのに役立つ”遊びトレーニング”については、『「聞く力」が弱い理由と改善方法』で詳しく解説しているため、気になる方はサンプルをチェックしてみてくださいね!
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三つ星ドリル「聞く力トレーニング 基礎・応用編」
もし、お話の記憶に取り組む前に「聞く力」を伸ばしたいなら、『聞く力トレーニング 基礎・応用編』がおすすめです。
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そのため、お子さんの聞く力が弱くて悩んでいる方、家庭学習で聞く力を伸ばすトレーニングをしたい方にはピッタリの教材となっています。
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「聞く力」が弱い理由と改善方法【図解付きで解説】
「お話の記憶を全然覚えられない」
「聞き取りが苦手で問題が解けない」
という場合、お子さんの「聞く力」に原因があるかもしれません。
また、小学校受験において、“聞く力が弱い”というのは致命的な問題です。
そのため、お子さんの聞く力が弱い場合は、まずその原因を知った上で、日々の関わり方や遊びトレーニングを実践していかなければなりません。
三つ星ガイドのオリジナル教材『「聞く力」が弱い理由と改善方法【図解付きで解説】』では、
◉聞く力が弱い子どもの共通点や原因
◉聞く力を伸ばすことで期待できるメリットや効果
◉聞く力を伸ばす「親子の関わり方」や「遊びトレーニング」
などについて、脳科学を踏まえて、図解付きで解説しています。
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さいごに
今回は、お話の記憶が苦手な子どもの原因や改善方法などについて詳しく解説してきました。
お話の記憶が苦手なお子さんは、ワーキングメモリや記憶力などに原因がある可能性が高いです。
そのため、お話が苦手な方は、今回解説したことを参考にしてみてくださいね!
また、以下の記事もお話の記憶が苦手なお子さんに大きく関連する内容になっているため、必ずチェックしてくださいね。
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